「第一印象を良くする」という概念は、文化や国によって異なるものの、「初対面での印象がその後の関係性に大きな影響を与える」という点は、共通しているようです。
しかし、目に見える外見はある程度意識的に変化させやすいですが、咄嗟の行動や雰囲気は、簡単に変えられるものではありません。
第一印象を良くしなければならないのか
第一印象を良くすることを意識させられる場は、初対面の人と会う「面接」や「社交場」です。そしてその目的は、大抵が相手に受け入れられるためでしょう。
緊張を紛らわせるためのユーモアは場所と相手を選びますし、学校や会社の面接に「オープンマインド」は必要ありません。
社会の価値観に合わせて好印象を演じようとしても、自分の本質とズレがあれば違和感が生じますし、相手によってどう受け取られ、解釈されるのかも違うはずです。
それに、初めて会うクラスメイト、恋愛の対象、学校や会社の面接官、婚約者の両親、国籍の違う相手など、自分が与える印象を気にする相手は数多く存在します。
本来の自分を偽り、評価に対する一喜一憂に振り回されるのは、精神的に大きなストレスです。
「すべての人に受け入れられるために、私はどれだけの仮面を用意しなければならないんだろうか」
以前はそんなことを考えていましたが、それはもう必要ないと感じています。
重い荷物は、はじめから持たなくていいんです。
エスカレートする「清潔感」
例えば、第一印象を良くする方法としてあげられる「清潔感」は、その基準も時代の価値観が作り上げ、どんどんエスカレートしていく傾向にあります。
歯のホワイトニング、歯列矯正、シミやシワなどのケア、美容整形、ムダ毛の処理、縮毛矯正、ヘアカラー(白髪)、体臭のケア…。
これらは体質によって、すべての人にできることではありません。しかし、清潔感のためには必須だとされれば、私が好印象を与えることは不可能です。
身だしなみとされる項目のハードルが上がるほど、周囲につられてやるしかない、そう考える人もいるでしょう。
でもそれでは、神経がすり減ってしまいますし、常に他者の評価を気にするようになり、自己肯定感が低下する可能性もあります。
固定化した第一印象に縛られて、新しいことに挑戦したり、自分を変えたりすることが、難しくなることもあるはずです。
そう考えると、個性を尊重する流れの中で、印象を良くしなければならないという価値観は、少しズレているのかもしれませんね。
無視される「視覚情報」では理解できない相手の内面
第一印象を良くするための情報としてよく目にする「メラビアンの法則」は、視覚情報(見た目)が非常に高い割合を占めています。
確かに私も視覚情報を優先しますが、AIで作成した文章だとすると、SNSなどの文章は、あてにならないかもしれません。
(直接的に「全ての情報+第六感的なもの」から判断するのがいいのか…。)
しかし、第一印象で受け入れられたとしても、後々の発言や態度に違和感を持たれれば意味はありません。
相手に気に入られることに意識を向けすぎると、自分自身にも、その後の関係性にも無理が生じるはずです。
それならば、はじめから「自分はこんな人間です」というポリシーを持って堂々としている方が、よほど自分らしくていいのではないでしょうか。
その後の関りで印象は変化する
第一印象は、相手との関わりが長くなるほど重要ではなくなります。良くも悪くも、その後の関わりの中で印象が変わるのが普通です。
人見知りだと思っていたら、実は面倒見が良かったり、堂々としていて怖そうだ思っていたら、茶目っ気があったり、意外な趣味を持っていたり。
それがいい意味でのギャップになるかは、相手の受け取り方(価値観)に委ねられますが、その人自身の価値は変わりませんよね。
相手に受け入れられなくても自分を否定する必要はなく、価値観の合う別の人と、新たに関係性を築けばいいのだと思います。
自分の強みや魅せ方を研究する
価値観の合う人と新たに関係性を築くには、自分を知ることです。
自己理解を深め、本来の価値観や自分の強み、自分の自然な魅せ方を研究することを楽しむのがいいかもしれません。
自分の素質や性格、コミュニケーションの特徴、思考パターンや持っているスキル、興味関心、行動パターン。これらが総合的に雰囲気として表れるのが第一印象であり、自分らしさだと私は考えています。
本来の自分らしさを変形させてまで印象を良くする必要はなく、適度な清潔感と自分らしさを大切にしたいと思っています。
心地よい関係性のための印象付けを意識する
時代は変化し、組織やコミュニティの形もどんどん変化していきます。 第一印象は、あくまでも相手との出会いのきっかけであり、その後の関係性を左右するものではないのかもしれません。
大切なのは、ありのままの自分を受け入れてくれる人との関係性を築くことです。
気に入られるために良い印象を作るのではなく、より心地よい関係性のために、決して無理のない、ありのままの自分を印象付けることを意識したいものです。
ビジネスのためであれ、恋愛のためであれ、自分の本質からズレることなくアピールできれば、これほど生きやすいことはないと思います。
ジャーナリングのネタに:第一印象について深める
以下の内容について、周囲の人と話し合ったり、ジャーナリングに活用してみて下さい。
- 「第一印象」という言葉から最初に思い浮かべるものは?
- 理想的な第一印象とはどのようなもの?
- 第一印象を良くするために実践していることや、今後試してみたいことは?
- 周りに、第一印象と大きく異なっていた人物はいる?その経験から学んだことは?
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